気仙沼で大学生が1週間自分と向き合う「SOKOAGE CAMP」。そこで起きたことや感じたことを綴った、幻の1週間の記録が「そこあげ物語」です。
連載ですので、まだ読んでいない方はこちらからどうぞ。
******************
向き合えていなかった過去
人生グラフで号泣した私は、次の日になっても放心状態で、魂が抜けたようになっていた。
あれは、何だったんだろう。
自分の過去の話をしたのは初めてではない。むしろ、よく話す方だと思う。心乱されることもなく、「事実」として、淡々と。
自分の過去とはもう向き合えているし、過去のことといっても、そんな大したことはなかったと、そう思っていた。
それでもあの時、自分の過去を「事実」としてではなく、「痛み」として話そうとして、声を詰まらせた自分がいた。
私は本当に過去と向き合えていたんだろうか?
今まで過去の話をする時は、重くならないように、一部の断片的な「事実」を表面だけ薄く切り取って話していたのだと思う。そうすることで、その「事実」の背後にある、「痛み」をなかったことにしていた。
それで、乗りこえたつもりになっていた。
過去を美化して封印するのではなく、「あの時、つらかったな」「自分、頑張ってたんだな」って、そのまま認められるようになりたい。
それが、過去と向き合うことなのだと思った。
自分が分からない
私はキャンプに参加する前、自分のことは分かっていると思っていた。
改めて自分について考える必要も、過去と向き合う必要もないと。
でも、あの人生グラフでの号泣事件から、私は自分のことを何も知らなかったのだと気づいた。
号泣してはじめて、自分が過去を引きずってるって気づいたから。
そして、過去のわだかまりが今に繋がっているってことも。
自分のことなど、何も分かっていなかった。
******************
※現在、このSOKOAGE CAMPが、新たに参加者を募集しているみたいです。
ちょっとでも興味のある方は、ぜひ覗いてみてください。