ももばちの軌跡

人のヤミが好きなだけのももばちの、ヤミの悲鳴とアイ。自分のヤミと向き合いながら生きる、ももばちの奮闘記。

ぬくもりと引き換えに、自分の言葉を失った。

書けなくなった。

 

昔、真っ暗闇のどん底にいる時は、心の奥底から、湧き上がるように言葉が、文章が出てきた。

 

書き始めたら、とめどなく流れる濁流のように、言葉が溢れてきたんだ。

 

私の言葉には、悲鳴に似た魂がのっていた。これが、他の誰でもない私からしか出てこない言葉なんだって、胸を張って言えた。

 

時間が経って、私は変わった。

たくさんのあたたかい人たちに出会い、ぬくもりを知った。

前よりちょっと自分を認め、楽に生きられるようになった。

 

 

そして私は、書けなくなった。

 

何も湧き出てこない。

魂がのっていない薄っぺらい言葉の羅列に、吐き気がする。

 

私の言葉じゃない。

どこかで聞いたような、言葉の羅列。

 

私の言葉は?私はどこ?

 

何も見えない真っ暗闇にうっすら光が差し込み、ぼんやり世界が見えるようになるにつれて、自分というものが見えなくなっている。

 

私は、闇の中にしか存在できないんだろうか?

ぬくもりの中にいたら、消えてしまうんだろうか?

 

闇の中でしか、私は私の言葉を紡ぎ出すことができないんだろうか。

 

今の私には、人の心に響く文章は書けない。

 

 

もう一度、私の言葉を取り戻したい。

私を、取り戻したい。